ショベルヘッドのソリッドタペット調整

ショベルヘッド

友人のショベルヘッド、冷間時は良いのですが、完全暖気後にはかなりのカチャカチャ音が出て、アイドリングも苦しそうな感じになります。さすがに音が大きすぎるので、お預かりして確認することにしました。

ハーレーのタペットの種類

ショベルヘッドのタペットには2種類のタペットがあり、油圧タペットとソリッドタペットがあります。ショベル純正は油圧タペットが付いています。

油圧タペットの特徴

  • プッシュロッドの調整がそこまでシビアではない
  • エンジンのノイズが静か
  • 油圧ユニットのトラブルがある

ソリッドタペットの特徴

  • タペット調整がシビア
  • カチャカチャ音が出やすい
  • カムの追従性が良い
  • 油圧ユニットのトラブルがない

それぞれのタペットの特徴を簡単に箇条書きにしてみました。

クリアランスを油圧で自動調整してくれる油圧タペットとは違い、ソリッドタペットはシビアな調整が必要となります。エンジンのカチャカチャ音が気になる方は、一度プッシュロッドの調整を確認してみてはいかがでしょうか?

カチャカチャ音の原因

このカチャカチャ音は、バイクに乗ってみると、タペット音であろうと推測が付きました。ソリッドタペットが組まれているのではと思い、プッシュロッドカバーを外してみた所、案の定ソリッドタペットが組まれていました。プッシュロッドの先、タペットの形状を見るとすぐにわかります。

冷間時に早速クリアランスを確認すると、どのプッシュロッドも冷間時でプッシュロッドが指でするする回るどころか、クリアランスが大きくわずかにガタがあるぐらいでした。
言ってみればソリッドタペットを油圧タペットの調整方法で調整したぐらいでは?という感じでした。上記にも書いたように、クリアランスを油圧で自動調整してくれる油圧タペットとは違い、ソリッドタペットはシビアな調整が必要となります。

ソリッドタペットの調整

ネットを調べてみると、色々な調整方法がみられます。ここは私独自の見解も入っていますので。
まず、バイクが冷間時に調整します。この状態で前後シリンダーのプラグを外します。

プラグを外さなくてもできますが、クランクを回しますので外したほうが圧縮がなくなり、楽にクランクを回せますので作業効率が良いです。

まずフロントシリンダーから順を追っていきましょう。
フロントのインテーク、エキゾーストのバルブが閉まり切る位置を出します。圧縮上死点です。タイミングホールを外さなくても、プラグを外したのでプラグホールから除けばピストンが一番上にあるのが見えますね。
排気上死点もピストンが一番上に来ますが、エキゾーストバルブが開いていますので、プッシュロッドの動きを見ればわかります。間違えないようにしましょう。
もちろんタイミングホールを外してフライホイールのマークを確認してもOKです。

圧縮上死点であれば、今のプッシュロッドの調整が張りすぎでなければ指でプッシュロッドが回るはずです。油圧タペットであれば、ここで油圧ユニットがすべて押し込まれたゼロクリアランスから1と1/2戻し又は1と3/4戻し(年式により違う)しますが、ソリッドタペットではここまで戻してしまうとプッシュロッドにガタが出てしまいます。

まずプッシュロッドを伸ばしていき、指でプッシュロッドが回らなくなると、プッシュロッドが伸びて、バルブスプリングを押している状態になります。そこから少しずつ戻していき、プッシュロッドに抵抗がありながらも指で回せる程度で固定します。スルスルまわってしまうようであれば戻しすぎです。もう一度調整しましょう。

これをフロントシリンダーのインテーク、エキゾーストで調整し、今度はリヤシリンダーで圧縮上死点を出してインテーク、エキゾースト両方を調整しておしまいです。

このプッシュロッドのナットのサイズは7/16ですので、7/16のスパナ等を2本使用します。私の使用している工具はシグネットの7/16インチのコンビネーションレンチです。値段の割には質感もよく、DIY派の人にはオススメです。

作業後の確認

全部調整しおわったら、キックしてクランクをまわしてやり、プッシュロッドの動きを確認しましょう。調整ミスがあればこの時点で気が付けるはずです。もしカム山にタペットが乗ってしまっている所で調整していたならば、カム山から下りた所でプッシュロッドがガタガタになってしまっています。
再度圧縮上死点にし、プッシュロッドが指で軽く抵抗を感じながらも回せるぐらいになっている事を確認しましょう。

OKであればプッシュロッドカバーをつけて元に戻します。
次にプラグを付けてキックしてみましょう。
ちゃんと圧縮がありますか?プッシュロッド張りすぎてバルブが閉まり切っていないと圧縮がありません。

作業後の確認は、やりすぎるぐらいでちょうどよいのです。

すべてOKであれば、エンジンを始動して試運転です。

完全暖気後にプッシュロッドの音を確認。
以前のような大きなカチャカチャ音はおさまりました。

プッシュロッドをいくら調整してもカチャカチャ音が収まらない場合はカムやタペットローラー、ロッカーアームなど他の部分の不具合が考えられますので、注意しましょう。

コメント

  1. 後藤 より:

    はじめまして。いつも参考にさせていただいてます。
    ショベル SHOWA製35mmフォークのオーバーホールの記事を参考に自分でオーバーホールしました。
    2つ気になることがあったので教えてほしく連絡しました。

    フロントフォークはめ込んだ時にどうやってもトップのツラまで入りませんでした。
    4mm下でトップのキャップしました。
    外した時に写真でもとっておけばよかったのですが、、
    これで大丈夫なのか?と思い連絡させてもらいました。
    あとアクスルシャフトをフロントフォークのスタッドボルトで締める時は前を目一杯締めてから後ろ締めればいいですか?

    • knock より:

      はじめまして、ブログを参考にして頂きありがとうございます。また返信遅くなり申し訳ありません。

      トップのツラというのはフォークの先端がトップブリッジ上端から4mm下という事でしょうか。文章だとなかなか難しいですね。
      フォークとトップブリッジの接合部はテーパー状になっており、個体差はあったとしてもツラまでは上がらないと思います。
      私のはフォークトップナット取り外してみた所、トップブリッジ上端からフォークトップまでは2mmほど下がった所でした。

      アクスルシャフトを固定するナットは前後とも等間隔で締めて下さい、スタッドボルトが曲がってしまいます。

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